ビザvisa

2023年ビザ最新情報


派遣社員のビザ

日本からの派遣用のビザにはEビザ(条約ビザ:投資・貿易)かLビザ(関連会社間転勤)がありますが、いずれも役員、管理職、専門技術・知識職が対象となります。これらビザの主な違いは、Lビザは海外の関連会社で派遣直前の3年間のうち1年以上の勤務経験を必要とするのに対し、Eビザは関連会社での経験は問いません。また、Eビザは日本国籍保持者に限られますが、Lビザは国籍は問いません。Lビザは最長滞在期間に制限があるのに対し、Eビザにはビザの延長回数に制限がありません。ただし、Lビザは、最長滞在期間を満了したら、Eビザに変更することもできます。また、1年以上米国外に待機していれば、再度Lビザを申請することができます。

近年アメリカの就労ビザの審査は大変厳しくなっているので、派遣社員の選任には細心の注意を払う必要があります。役員・管理職として派遣される場合は、その任務を遂行するための十分な資格もしくは管理経験があること、専門技術・知識職として派遣される場合は、派遣社員が一般のアメリカ人がもちえないような知識や技術を保有していること、さらにアメリカでの経営に必要不可欠な任務を遂行することを詳細に説明しなければなりません。また、アメリカ派遣先企業の社員が派遣社員一人だけでは、管理職や専門職として認められにくいため、現地組織には管理職、専門職社員の他にも、それを事務的にサポートするスタッフを採用する予定があることを証明したほうが無難でしょう。

【Eビザ】

Eビザ企業の資格

EビザにはE-1貿易ビザとE-2投資家ビザの2種類がありますが、いずれも米国のビジネスの資本の最低50%が日本の出資でなければなりません。E-1ビザはさらに日米間において相当量の貿易量があり、且つ、全世界の取引高の51%以上が日米間の取引であることが条件です。E-2ビザは米国に相当額の投資をし、積極的に事業経営を行うものでなければなりません。投資金額については法的な決まりはありませんが、事業業種によって投資金額や必要経費にかなりの差が出てきます。いずれの業種であっても、詳細な事業計画書を提出し、事業を運営するのに十分な資金があることを証明しなければなりません。事業経営を伴わない単なる資金投資や、消極的な不動産投資などはE-2の投資としては認められません。

Eビザ申請方法

Eビザは初回申請時のみ、日本の米国大使館もしくは米国領事館でEビザ登録を行わなければなりません。社内に最低1人有効なEビザを保持する社員がいれば、次回の申請者からは会社登録は不要になります。会社登録申請に2〜3ヶ月ほどかかり、会社の審査がおわったら面接となります。ビザ申請費用は一人$205です。面接に問題がなければ、通常1週間以内にビザが送られてきます。Eビザは一回に最長5年間までビザがもらえますが、立上げ目的など短期間の派遣者などであれば、1〜2年ほどに限定されることもあります。いずれも入国時は毎回2年間の滞在資格をあたえられます。ただし、パスポートの残存期間が2年未満であれば、滞在期間はパスポートの期限までに限定されることもあります。

【Lビザ】

Lビザ企業の資格

Lビザは特定国の出資比率を問いませんが、米国外の派遣元会社と米国企業が本店・支店、親子会社、もしくは同じ株主に所有される兄弟会社などの関係でなければなりません。親子会社の場合は50%を超える株式を保有すること、ジョイントベンチャーの場合、株式保有が50%未満でも実質の事業決定権限があることが条件となります。また、米国企業も派遣元会社もいずれも定期的、系統的かつ継続的に事業を営んでいることを証明する必要があります。

Lビザの種類

Lビザには個別申請、ブランケット申請、コミューター申請の3種類があります。

(1)個別申請L

個別申請とは、雇用主が移民局に申請者のLビザ資格を個別に申請する方法で、申請した雇用主のもとでの雇用に限定されます。申請手順は2段階あり、最初に移民局に申請を行い、それが承認されたら駐日米国大使館か米国領事館でビザ面接を行います。設立から1年未満の新規事業であれば、初年度のビジネス活動、さらに今後の詳細な事業計画書を提出し、米国で事業経営準備を行っていることを証明すれば、移民局は初回は1年間の承認通知書を発行します。1年後に事業が計画どおりに順調に進んでいることを証明すれば、移民局は2年間の延長を承認します。設立後1年以上経過していれば、初回申請時には3年間の承認がもらえ、その後2年間ずつ延長申請をすることができます。管理職は最長で7年、非管理職は最長5年まで米国での滞在がみとめられます。移民局での審査時間は、申請場所にもよりますが、現時点ではおよそ1〜9ヶ月ほどかかっています。申請費用は$460ですが、初回のみ詐欺防止費用の$500も支払います。50名以上の社員を抱える企業で、且つ、50%以上の社員がLかH-1B保持者であれば、さらに$4,500の追加申請費用が課せられます。追加で特急料金$2,500を支払えば15営業日(3週間)で審査をしてくれますが、いずれの場合も、追加証拠の要請が来た場合は、証拠を準備するのにさらに1〜3ヶ月ほどかかることがあります。移民局への申請が承認されれば、次に日本の米国大使館か米国領事館での本人の面接となります。ビザ申請費用は$190です。面接に問題がなければ、通常1週間以内にビザが送られていきます。ビザスタンプは日本国籍者であれば、一回に最長で5年まで発行されますが、入国時に許可される滞在期限は承認通知書の期限までとなります。

(2)Lブランケット

Lブランケットは、米国内での関連会社間の移動を円滑にするためにできたものです。まずは国内外の関連会社のリストと関連証拠書類を申請費用$460と一緒に移民局に提出すれば、関連会社のリストがついたLブランケット承認通知書が発行されます。追加で特急料金$2,500を支払えば15営業日(3週間)で審査をしてくれます。このLブランケット承認通知書があれば、申請者は移民局で個別の申請をする必要がなくなります。ビザ申請費用$190と詐欺防止費用$500を支払って、直接日本の米国大使館か米国領事館でビザの審査を受けることができるので、赴任までの準備期間が圧倒的に縮小されます。また、渡米後も移民局に雇用主の訂正申請をしなくとも、ブランケット承認通知書のリストにある関連会社間での異動が自由になるので、コスト削減、人事計画の円滑化という利便性があります。

(3)コミューターL 

一般に米国外に住所がある場合、もしくは米国と国外の事業の兼任などで、米国には短期間滞在する場合、Commuter L(通勤用L)もしくはIntermittent L(断続的L)ビザを申請することができます。このビザだと、米国内での直近年度の滞在期間が半年以下であった場合、Lビザの延長回数に制限がなくなります。例えばカナダやメキシコに住みアメリカには年に数回しか来ない場合、もしくは、日米兼任でアメリカには1年のうち半年も滞在しない場合、Lビザの最長期限を超えて滞在資格をさらに1年毎に延長することができます。申請方法は個別Lの申請方法と同じですが、申請直前の1年間の内、アメリカでの滞在期間が180日未満であった証拠を提出します。

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大蔵 昌枝 弁護士

大蔵 昌枝 弁護士
所属
TAYLOR ENGLISH DUMA, LLP
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1987年東京外国語大学中国語学科卒業。2002年サウス・カロライナ大学経営学大学院・ロースクール卒業。経営学修士号(MBA)・法学博士号(JD)取得。U.S. CPA試験合格。日本にて証券会社や製造会社の国際事業部の勤務を経て、現在はジョージア州アトランタ市のテイラー・イングリッシュ・ドゥマ法律事務所のパートナー。日本語、英語、中国語の3ヶ国語に精通し、日系情報誌やウェブサイトに移民法記事を多数掲載。

著書:アメリカの陪審制度と日本の裁判員制度―陪審制の発展と意義(エディックス出版、2011.2、大蔵著)
研究者・留学生のためのアメリカビザ取得完全マニュアル(羊土社、2018.12、大蔵著)