医療medical
応急処置の方法
【突き指/ねんざ(Jammed Finger/Sprain)】
突き指
指が赤く腫れて痛み、動かせなくなる単なるねんざから、指を伸ばす腱の断裂、関節の脱臼、骨折などその損傷の程度は様々である。痛みがひどければ整形外科医の診察を受ける。特に関節が変形している場合は、骨折や腱損傷を合併している恐れがあるので必ず医師の診察を受ける。
応急手当
- すぐに氷で冷やす。
- 割り箸などの副木を当てて固定する。隣の指とテープで固定してしまう方法もある。
ねんざ
関節が一度外れかかって、元へ戻った後、関節をつなぐ筋や靭帯が傷付いている状態。けがをした瞬間は、激しい痛みを感じる。関節が腫れて、内出血のために皮膚は紫色になる。
応急手当
- 安静にして20〜30分氷で冷やす。
- 弾性包帯(Bandage)、またはテーピングで患部の関節の動きを止める。
- 患部を毛布や枕などで高く上げ、包帯の上から丸一日、氷のうで冷やす。
- 特に足関節や膝のねんざでは、手術が必要なこともある。応急手当が済んだら、すぐに医師の診察を受ける。
【筋肉痛/肩こり (Muscle Pain/Stiff Shoulders)】
筋肉痛
激しい運動を行うと、筋肉の中にある乳酸などの疲労物質が蓄積され、それが痛みを引き起こすのが筋肉痛の原因の一つと言われている。また筋肉組織の損傷や炎症が原因という説もあり、いくつかの原因が考えられる。
応急手当
激しい痛みを和らげるためには、非ステロイド系抗炎症剤入りの湿布が有効。冷感湿布は痛みや炎症を抑え、温感湿布は血流を良くし、筋肉の緊張をほぐす。冷感湿布の後に温感湿布を使うと良い。米国製の湿布を使うのが不安な人は、久光製薬のサロンパスなら、米国内どのドラッグストアでも入手できる。またマッサージや軽度のストレッチも効果がある。
肩こり
首や肩の筋肉が、疲労や緊張のために固くなり、血行不良による酸欠状態になっている。頚椎から腕に向かう神経痛も一因となる。肩こりの原因としてストレス、冷え性、運動不足、体型、更年期などがある。
応急手当
肩こりの解消には、筋肉を動かすことが大事。筋肉を半ば強制的に動かすことで筋肉の収縮や弛緩を促し、筋肉の血行を促進する。病気により引き起こされる肩こりもあるので、めまいや手足のしびれ、だるさ、頭痛などの症状を伴う場合は医師の診断が必要。
【肉離れ/こむらがえり(足がつる) (Muscle Tear/Leg Cramp)】
肉離れ
弾力を失った筋肉の結合組織が切れる症状である。急に運動をした場合などに起こる。強い圧痛があり、徐々に腫れ、内出血のために皮膚の色が紫色に変わる。応急手当が済んだら、医師の診断を受けることが必要。
応急手当
- すぐに水か氷で冷やす。
- 手足の場合は、枕などの上に乗せ、包帯で圧迫する。
- 数日経つと固くしこりとなる。この時期には、肉離れを起こした個所を冷やすのはやめて温める。
こむらがえり
血液の流れが不十分な場合、運動不足や病気で筋力が低下した状況に疲労が重なった時などに起こる。筋肉が突然痛くなり、つるような痛みで足は動かせない。
応急手当
- 片手で足先を握り、もう一方の手で膝を押さえる。数分間、つっている方向と逆方向に足先を引っ張ったり、押したりして筋肉を伸ばす。
- 土踏まずの部分を両手の親指で押したり、もんだりする。
- 家にいる時に起こった場合は、つった筋肉の部分をホットタオルなどで温めるとよい。
【アキレス腱を切った場合/脱臼 (Achilles Tendon Rupture/Dislocation)】
アキレス腱を切る
ふくらはぎの筋肉を極度に使うなど、急に激しい運動をした時にアキレス腱が切れることがある。切れた瞬間、ブツッという鈍い音がし、何かで強く打たれたような感じが起こる。徐々に痛みが強くなり、歩けなくなる。
応急手当
- すぐに腹ばいに寝かせる。足首を伸ばした状態で副木を当て固定し、すぐに整形外科医の診察を受ける。
- 副木は段ボールや週刊誌でよい。むこうずねから足首までを固定し、足首の下にタオルを置く。
脱臼
強い衝撃を受けたために、関節がはずれた状態をいう。脱臼した関節は変形し、腫れて痛みがあり、動かせなくなる。特に乳幼児期は、関節の周囲の組織が軟らかく、骨の成長が不十分なため簡単に脱臼が起こる。
応急手当
- 脱臼したところを氷などで冷やす。
- 三角巾や包帯などで動かないように固定し、なるべく早く整形外科医の診察を受ける。
- 血管や神経を痛める恐れがあるので、自分で関節を戻そうとしないこと。
【目・耳・鼻に異物が入った/目に物が当たった場合
(Foreign Body in the Eye, Ear, Nose)】
目に異物が入った場合
応急手当
- 小さな虫、ごみ、洗剤、薬品など何でも目に入った時は、まず洗眼する。水道の流し水や洗面器にためた水で目をパチパチさせて洗う。市販の生理食塩水で洗うとしみることがなくてよい。決して目をこすってはいけない。
- 1. で取れない時は、上下のまぶたを裏返して異物が見つかれば、綿棒に水をつけて取る。
- 黒目に異物がある時は、数回まばたきして、白目に移動させてから取る。
目に物が当たった場合
応急手当
目が腫れていたら、清潔な濡れタオル、またはガーゼで冷やし眼科医を受診。出血した場合も同様の処置を取る。
耳に異物が入った場合
応急手当
- 虫が入った時:耳に電灯の光を近付けると、虫が光に誘われて自然に出てくる。だめな場合は、オリーブ油かサラダ油を2〜3滴たらす。その後、医師の診察を受ける。
- 豆が入った時:油を少量たらし、耳を下にして頭を軽く叩く。
- 水が入った時:耳を下にして片足で跳び、頭を叩く。これで大部分は流れ出る。
鼻に異物が入った場合
応急手当
異物が入っていないほうの鼻を押さえ、強く鼻をかむ。
桑間 雄一郎 医師(監修)
- 所属
- 東京海上記念診療所(マンハッタン診療所)
- 肩書
- 院長
- 住所
- 55 East 34th Street 2nd Floor New York, NY 10016
- TEL
- 212-889-2119
- FAX
- 212-696-2406