医療medical

応急処置の方法


【心臓発作(Heart Attack)】

心臓発作は、心臓の血管に障害が起こり、心臓の組織に血液が流れにくくなった時に起こる。突然胸を締め付けられたり、激しい胸痛が起こった時は、狭心症や心筋梗塞を疑い、素早く処置をする。

応急手当

  •  急に胸が苦しくなった時(狭心症の場合)
  1. 慌てずに安静にする。横になれる状況にある時は、横になる。また、歩いている時に起こった場合は、すぐ立ち止まり、しゃがんで休む。通常、痛みは数分で治まる。
  2. 発作の後は、必ず医師の診断を受ける。発作時のための薬(ニトログリセリン系の薬)をもらっておき、携帯すること。発作の時はすぐに使用する。
  • 激しい痛みが持続する時(心筋梗塞の場合)
  1. ベルト、ネクタイ、ボタンなどを外し、衣服を緩める。
  2. 発作直後の処置が生死を分けることになるので、直ちに救急車を呼ぶ。
  3. 毛布などで病人を保温する。
  4. 病人は死への恐怖感が強いので、手を握り言葉をかけ、気を楽にさせる。
  5. 病人は絶対安静。呼吸が困難な時は気道を確保し、意識消失の際は、人工呼吸や心臓マッサージを行う。

【けいれん(ひきつけ)(Convulsion)】

突然意識を失って、全身のけいれんを起こす。筋肉の硬直が数秒から30秒ぐらい続き、顔面や唇が紫色になり、口中に泡がたまる。一時呼吸が止まったり、舌をかんだり、失禁したりすることもある。投薬を受けている人は、その薬名を書いたIDカードを持ち歩くとよい。また、ひきつけのある人は、飲酒を避ける。

応急手当

  1. けいれんの始まる前に、全身の筋肉が硬直する時がある。舌をかむ恐れがあるので、早く発作に気付いた場合は、周囲にある物から離し、患者のけがを防ぐ。
  2. 衣服を緩めて半伏せにすると、窒息を防ぐことができる。まず、片方の膝を立てる。
  3. 片手を尻の下に敷き、腹の上に反対の手を置く。
  4. 腕と尻を持って回転させる。
  5. 肘を曲げて、手のひらの上に顔を乗せ、尻の下に置いた手を後ろに出す。(注:患者の口に指や物を入れないこと。)

熱性けいれん(ひきつけ)

6ヵ月〜6歳の幼児に見られるが、大きくなってからのてんかん、ひきつけとは特に関係ない。これは嘔吐を伴うこともある。38℃以上の発熱の際に、全身性のけいれんを生じることは少なくない。大変驚くことになるが、1〜2分程度で終わることが多い。けいれんそのものより、発熱を生じる原因となっている病気の種類が大切で、特に1歳以下の子供では、髄膜炎が原因であることがあり、急いで医師に診せる必要がある。短時間で終わった場合でも、主治医に連絡し指示を仰ぐ。

【中毒 (Poisoning)】

中毒を引き起こす物質は様々で、それぞれの物質によって対処法が異なる。アメリカには、「Poison Control」という電話対応センターがあるので、1-800-222-1222に電話してみるとよい。また、日本語によるサービスとしては、日本中毒情報センターのウェブサイトがあるので参考にするとよい(https://www.j-poison-ic.jp

原因物質の確認

まず、何を飲んだか、何を吸ったのか、中毒の原因物質を確認する。自殺目的の場合は、本人がいう物質名が本当であるとは限らないので、周囲に散らばっている瓶や空き箱などから確認しなければならないこともある。また、残っている量から飲んだ量を判断することも重要。

飲み込んだ時

家庭にある危険な物質を子供が誤って飲み込んでしまうアクシデントは少なくない。洗剤、排水管洗浄液、漂白剤といった液体を飲んでしまうとか、たばこの吸い殻を飲み込んでしまうとか、大人の薬を飲んでしまうといったことがよくある。一昔前までは、水や牛乳を飲ませたり、のどの奥を刺激して吐かせるといった応急処置が勧められていた。しかし、長年のデータの蓄積により、これらの方法には効果がないばかりでなく、逆にトラブルを発生させる危険を伴うことが多いことが分かってきた。現在では、飲ませたり吐かせたりはせずに、慎重に観察を続けて、強い症状が出た場合にのみ治療を施す方針になってきた。何もせずに、状況を医師へ説明し、ケースバイケースで指示をうけて、落ち着いて対処するのが最善だということである。

ガス中毒

治療の時期を逃すと、不整脈、脳神経のダメージ、心臓マヒが起こるので要注意。一酸化炭素中毒では、皮膚や粘膜の色が薄く、赤みがかった桜色をしているのが特徴。意識はあるか、また呼吸はどうかに注意する。

応急手当

  • ぬれたタオルなどで鼻を覆い、窓や戸を開け、ガスの栓を締める。
  • 病人を新鮮な空気の入るところに移し、頭部を低めにして仰向けに寝かせ、衣類を緩める。寒い時には、湯たんぽなどで体を温める。
  • 意識のない場合は、頬を叩くなどして目覚めさせ、呼吸がなければ人工呼吸。救急車を呼んで高圧酸素治療のできる施設に早めに搬送、100%酸素の吸入をする。

  【食中毒(Food Poisoning)】

サルモネラ菌、病原大腸菌、ブドウ球菌などの細菌や、ノロウイスルなどのウイルスが原因として多い。

応急手当

腹痛がある場合は、毛布などで腹部を温めて、膝を曲げて寝かせる。嘔吐する時は、顔を横向きにし、窒息を防ぐ。食べてすぐ嘔吐し始めたら、早めにコップ5〜6杯の水を飲ませて吐かせる。特に脱水症状がひどい場合はかなりの重症であるため、病院の救急処置室で脱水の治療を受ける。

すぐに始められる簡単な健康管理

現代病といわれる成人病

成人病といっても様々な症状がある。一般に知られているものでは、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化などが挙げられるだろう。

成人病になる最大の原因は悪い生活習慣の積み重ねといわれる。栄養バランスの取れていない食事や不規則な生活、摂取カロリーの増加、加工食品の多食、運動不足、ストレス、肥満など、要因を挙げればきりがない。

そこで普段の生活と食事を通じて、気軽にできる健康管理を紹介しよう。

簡単な運動不足解消術

学生時代は体育会系で身体を動かすことが多かった。しかし、社会人になると仕事に追われるばかりで……。そんな若い人が増えているという。だが、特別にスポーツすることもなく、普段の生活の中で、簡単に運動不足は解消できる。最も簡単なのは、歩く機会を増やすことである。

歩く習慣をつける

例えば駅やビルの中。エスカレーターやエレベーターをできるだけ使わず、階段を使う。階段を上がる時は、足半分をステップに踏み入れる感じで行うといい。つま先立ちで上がる感覚だ。

仕事中にはストレッチ

次にデスクワークをしている時。いすに深く腰掛けず、半分ぐらいで姿勢よく座る。こうすると腹筋辺りに緊張感が持て、かつコンピューターを使っている時は、姿勢がよいことで目の疲れなどが少なくなる。更に1〜2時間おきにストレッチをすることで、身体全体の緊張をほぐす。

自宅でも軽い運動を

お風呂へ入った後、必ずストレッチで身体をほぐすと一日の疲れを取ることができる。また、掃除や片付け、そして料理といった家事。これも案外と体力を必要とする。だからこそ、これで運動不足を解消することも可能である。いきなりハードに始めるのではなく、少しずつコツコツとペースを上げる。こうすることで、次第に運動することが苦にならなくなるはずだ。

タグ: , , , ,

桑間 雄一郎 医師(監修)

No Image
所属
東京海上記念診療所(マンハッタン診療所)
肩書
院長
住所
55 East 34th Street 2nd Floor New York, NY 10016
TEL
212-889-2119
FAX
212-696-2406
URL
https://www.mountsinai.org/locations/msd-japanese-medical-practice/japanese