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日本帰国に際しての引越しについて


〜プロによるアドバイス〜

日本への帰国が決まったら、すぐに取り掛かりたいのは引越しの準備だと思います。これから、どのような手順で進めていけばいいか説明いたします。

まずは、引越し会社に連絡して下見日と引越し日を決めましょう。

駐在員の帰任辞令が多くでる2月〜3月、学校が終わる6〜7月は引越しの繁忙期となり、直前になると予約が取りにくくなります。帰国のフライトを取るより引越し日の確定の方が難しいとも言われています。特に3月末の2週間、6月末の2週間は予約が殺到するのが実情です。

それでは、下見日が決まったら、それまでに何をすればよいでしょうか。

下見では、引越し荷物として送る荷物を確認した上で、船便や航空便の容量を算出し、予算に収まるか、あるいは勤務先の規定に収まるかどうかなど、確認をします。

ここで大切なことが、荷物の仕分けです。日本の部屋の大きさから、アメリカで使っていた家具などをすべて日本に持ち帰るわけではないと思います。持ち帰る物、捨てる物、譲る物、売却する物などの仕分けをしていただくことが大切です。辞令が出てから帰任までは、送別会や引き継ぎなどで忙しくなるため、仕分けが後回しになりがちですが、そこの部分は引越し会社では決められないので早めに決めていきましょう。

また、持ち帰るものについては、引越し荷物に入れるか、手荷物として自分で持ち帰るかを考える必要があります。船便の場合は、東海岸からですと日本のお手元に届くまで約70〜80日、西海岸からでも約40日はかかります。そこで、逆算してアメリカから荷物を送り出しますが、引越し荷物はその間に必要にならない物を入れてください。航空便であっても、ご自身の帰国と同日には日本側で受けるわけではありませんので、お子さんの学校関係のもの、役所関係の重要な書類などはご自身で持って帰っていただく必要があります。

引越し荷物の準備にあたって注意しなければならないもう1つのポイントは、その荷物が日本に送れないもの、数量に制限のあるもの、税金が掛かるものでないか確認することです。食品や植物を原材料とした加工品は検疫が厳しくなっております。また、医薬品や化粧品、石鹸であっても、数量によっては日本に持ち込めない物がありますので、引越し会社に確認しましょう。

さぁ、いよいよ引越しです。

下見から変更している点があれば、事前に引越し会社に相談しましょう。引越しは段取りが八分と言われています。仕分けに基づいて、引越し会社のスタッフに指示を出して下さい。また、引越し当日には荷物に保険を掛けることになります。海外引越しは多くの人の手を経て、船、飛行機、鉄道、トラックなどで輸送されますので、事故が起きないとも限りません。しかし輸送業者による損害の補償は運送約款によって限定されているのが通常ですので、十分な金額で貨物保険をかけることをお勧めします。保険の内容は引越し会社によって異なりますので、しっかりと確認してください。

忘れてはいけない、入国時の別送品申告。引越し荷物も出して、さぁ終わり、と思ったら、そうではありません。

日本入国時に作成する「携帯品・別送品申告書」はなくてはならない重要な書類です。到着空港で忘れずに税関に申告をしましょう。これを忘れてしまうと、輸入手続きに時間が掛かったり、余計な税金が発生したりと大変なことが起こってしまいます。また、入国審査では、顔認証ゲートがスタートしております。パスポートに押される入国印のもらい忘れも注意が必要です。引越し会社のアドバイスに従い、正しい手続きをお願いします。

待ちにまった荷物の受け取り。

引越し荷物は輸入手続きが完了し次第、アメリカでの見積もりの際の条件に従って、配達されます。ダンボールは指定の部屋まで搬入されるのか、アメリカで分解された家具は組み立ててくれるのか、不要となった梱包資材は回収してくれるのか、など再確認しておきましょう。日本の自宅が見つからない為、長期に保管してほしい、新品の家具を組み立てて欲しい、実家にも配達して欲しいなどの希望がある場合は、たいていの場合、オプションになりますので、事前に引越し会社に相談してください。

最後に、海外引越しは、初めてじゃないから大丈夫!と思っても、思いの外、引越し当日にいろいろなトラブルが発生するものです。よくあるトラブルは以下の通りです。

  1. 行き先が明確な仕分けを!
    引越し当日。仕分けもできたので、あとは業者に引き渡すだけ、と思いきや「わかりやすい」仕分けができていないと、なかなか作業が進みません。引越し業者に都度指示をしていては時間がかかってしまいます。航空便は一つの部屋に集める。大きな荷物は船便・航空便などの付箋をつける、など、複数人のスタッフが来ても、同じ作業ができるよう、仕分けは「わかりやすく」準備しておきましょう。
  2. 必要なものは早めに準備。
    お土産、自分の記念品など、いざ帰国が決まると新たに購入すべきものがでてきます。とは言え、帰国前は送別会や、学校の手続きなど何かと多忙です。計画的に買い物の予定を立てておかないと、当日慌ててしまうこともありますので、必ず、新たに購入すべきものは何か、リストアップした上で、計画的に準備をしておきましょう。なお、新品は課税対象になる場合がありますので、ご注意下さい。
  3. 荷物の見落としに注意。
    荷物をすべて引き渡したと思ったら、思わぬところから荷物が出てきた、なんてこともあります。特に普段は使っていないお部屋があるなら要注意です。着任当初に案外、荷物を置いているかもしれません。下見の前に住居の隅々まで荷物がないか確認をしておきましょう。引越し当日に荷物を追加すると、その分、料金も追加され、思わぬ出費となってしまう場合もあります。
  4. パスポート、貴重品は手荷物に。
    無事、引越しが終わり、明日は日本へ帰国・・・と思っていたら、パスポートが見当たらない!なんてことは避けたいものです。パスポートや航空券、その他手荷物として持っていくべき貴重品を、誤って引越し会社に引き渡してしまわないよう、注意が必要です。手荷物として別の場所にひとまとめにして保管しておくと良いでしょう。

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細井 正明

細井 正明
所属
米国日本通運株式会社
肩書
ニューヨーク引越輸送支店