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知っておくべき子宮内膜症について
子宮内膜症という病気について詳しく知る人はなかなかいない。生理痛と症状がにているため、多くの人が気づかず、また３人に１人の女性が子宮内膜症と診断されるまでに３人〜４人の医師にかかっているというデータもあるほど、診断が難しい病気でもある。
アメリカ人には10人に１人、日本人は３人に１人というデータが出ているように、婦人科系の代表的な病気の一つでもある子宮内膜症というのはどういう病気なのか。今回初めてその病気の名前を聞いたという方も、聞いたことはあるけど詳しくは知らない、という方も是非これを機にもっとこの病気について知り、正しい知識を身につけてほしい。
子宮内膜症とは
本来なら子宮の内側にあるはずの組織が卵巣や腸、靭帯などの子宮に癒着して、様々な症状を引き起こす病気。主な症状は下腹部痛、不妊症、疲れやすい、だるい、性交渉時の痛み、吐き気、下痢、便秘と、体全体に現れる。強い痛みで生理中に普通の生活ができない人や痛み止め中毒になってしまうこともある。はっきりと診断が下らない病気の一つなので、症状が出てから発見まで平均して10年ほどかかるため診断が遅れがち。そのため、その間に内科医に診てもらい、生理痛だと診断されることも多い。子宮内膜症が発症する年齢は意外に若く、18％の人が10-19歳、46％の人が20-29歳、31％の人が30-39歳、そして7％の人が40-49歳の時に子宮内膜症になっているというデータがあり、これによるとなんと64％の人が30歳以前にこの病気にかかっていることになる。さらに、MRIや超音波では症状はわからず、また多くの人が専門医に行くことがないので普通の生理痛で済まされてしまう。
子宮内膜症になる女性は世界で約１億7600万人ほどいるとされていて、その人達だけで国をもしつくったら、世界で８番目に大きな国になると言われるほど患者数は多い。そしてなぜか統計的に子宮内膜症はアメリカ人よりも日本人の方が多い。遺伝要因、水、地理環境などいろいろ考えられるが、原因は未だ特定されていない。日本人であるというのはリスク要因のひとつでもある。
子宮内膜症の治療方法
一般的には、腹腔鏡によるレーザー治療が行われる。ただ、レーザーで行う場合、SPLASH EFFECTといって、レーザーが弾けた時に移植してしまうことがある。病気を治す治療のはずが、時間が経つと逆に内膜症を広げてしまうリスクがある。ニューヨーク子宮内膜症不妊症センターでは、子宮内膜症の最先端の治療である独自の腹腔鏡切除術を開発し、提供している。多くの人がこの技術を高く評価していて、メディアなどでも取り上げられた。この治療法は、病気を広げることなく根本から取り除くという技術で、内膜症の細かい部分を見て治療できるという強みを持っている。
不妊との関係性
女性の不妊症の原因の多くは、実は子宮内膜症。子宮内膜症をもっていることを知らずにそのまま体外受精（IVF）をしてしまうと、IVFの強い薬の副作用で子宮内膜症は活発化して広がるので、かえって体外受精をしづらい状況をつくってしまう。子宮内膜症は毎回病巣から出てくる毒素が精子や受精卵をアタックすることで、着床を妨げてしまう。
ニューヨーク子宮内膜症不妊症センターでは、一般的な不妊治療もしているが、子宮内膜症が原因の不妊症の患者さんも多い。子宮内膜症の治療で独自の腹腔鏡切除術を行うと、同クリニックのデータでは、患者さんの年齢にもよるが、平均して第３、第４期の内膜症の患者さんが妊娠する確率は69％になる。
子宮内膜症は治るのか？
子宮内膜症は完治の難しい再発性の高い病気で、腹腔鏡手術をしたあとも必ずケアが必要。１期、２期、３期、４期と症状によってステージがわかれているが、全米平均の５年以内の再発率は、３期が70％、４期が95％。同クリニックで治療を行った患者さん5,000件の統計では、３期が８％、４期が20％と大きな成果を出している。ただし、完治が難しい病気なので、術後も６ヶ月に１回、また３期４期の患者さんは１ヶ月に１回の検診が必要。
具体的な予防法
痛み止めやバースコントロールピルなどは、一時的に症状を和らげることはできるが、予防するためには普段の食生活から見直し、健康的なライフスタイル、生活環境の改善、薬と全体的なケア、そしてストレスを減らすことが大切だ。また、炎症を下げるのに良いとされている食べ物はブロッコリー、ケール、緑茶、くるみ、ココナッツ、ブルーベリーなど。避けたほうがよいものは、グルテン、デイリーフーズ、肉類、サーモン、農薬が使用されたもの。できるだけ無農薬の食品を選ぶと良い。
ニューヨーク子宮内膜症不妊症センター
金山昌秀医院長の子宮内膜症の教育活動について
誤情報も多く流れている世の中で、この病気について正しい情報を身につけてほしいということで、インスタグラム（@newyorkendometriosis）を開設し、日々子宮内膜症とはどのような病気か、正しい予防法、最新の治療法などを発信している。さらに、Women with Endometriosis Organizationという子宮内膜症の教育とサポートを推進する団体の理事メンバーとして選ばれ、子宮内膜症の正しい知識を世界に広める活動を行っている。
金山 昌秀 医師
- 所属
- ニューヨーク子宮内膜症不妊症センター New York Endometriosis Center
- 住所
- 150 E 55th St., 5th Fl., New York, NY 10022
- TEL
- 212-421-1016
インスタグラム：
@newyorkendometriosis